研究プロジェクト

日琉諸語の有標主格性に関する基礎的研究

科研費基盤B (2019年度-)

本研究の目的は,琉球諸語および本土諸方言(以下,日琉諸語)を対象に,言語類型論で大きな注目を集めつつある有標主格(marked nominative; Dixon 1994)という格配列パターンに着目して,その共時的バリエーションの実態を記述する基礎的な研究を行うことである。

   有標主格は世界的にはきわめて稀であり,1.1節で述べるように理論的には存在自体が「想定外」とされる(Handschuh 2014)。この「想定外」を検証する研究が近年盛んになってきているが,有標主格がかなり広範に見られる琉球諸語や西日本方言は,これらの類型論で一切議論されることがなかった。本研究は,日琉語族のデータを使って有標主格の類型論に貢献する世界初の研究である。さらに,有標主格を想定外とする現在の理論モデル自体を問い

直すきっかけを作る可能性を秘めた,理論モデルを再検証する研究として位置付けることができる。

琉球諸方言における焦点標示に関する基礎的研究

科研費若手B (2016年度-2018年度)

本研究は,琉球諸語にみられる係り結びに着目し,特に焦点助詞(ドゥ,ガなど)による焦点標示のバリエーションを情報構造理論的観点から記述し,類型論的観点から一般化する基礎研究である。本研究の最大の特色は、これまでの琉球方言研究が焦点助詞の分布を記述する際に区別しなかった焦点タイプ(contrastive focus vs. information focus),焦点ドメイン(predicate focus vs. argument focus vs. sentence focus)と述語タイプ(動詞述語 vs. 形容詞述語)を明確に区別したうえで、単に焦点助詞を「持つか否か」ではなく、「どのような焦点タイプ・述語タイプに焦点助詞が使えるか」という、分布に関する制限を考慮し、明確に類型化する点にある。

通言語的・類型論的観点からみた琉球諸語のケースマーキング

AA研共同利用・共同研究課題(2015年度-2017年度)

近年,琉球諸語の記述研究は統語分野を中心に大きく進展しつつあり,とりわけケースマーキングの記述の成果は,言語類型論に大きく貢献する可能性を秘めている。本研究は,琉球諸語のケースマーキングに関する類型論的研究を行う。特に焦点を当てる現象は,主語に格標示を行い,目的語を無標とする有標主格(marked nominative)と呼ばれる類型タイプおよびそれに関連するとみられる諸タイプである。有標主格は琉球諸語では広く見られるとされるが,世界的にはきわめて稀であり,理論的には存在自体が「想定外」とされている。しかし,このような類型的な例外の存立基盤や歴史変化を考察することこそ,言語学の前提を覆すきっかけとなるはずである。本研究では,琉球諸語の有標主格型およびそれに類型的・通時的に関連する諸体系を再検討することでケースマーキングの類型論に貢献することを目指す。

文理横断型のネットワークを活用した消滅危機方言の辞典作成の試み

九州大学QR(Qdai-jump Research Program)プログラム つばさプロジェクト(2016年度-2018年度)

本研究の目的は,琉球語の一方言である宮古語の意味分野別辞典(シソーラス)を作成することである。扱う意味分野は,動物・昆虫・植物・地理的概念(空間語彙,地名など)である。単に言語学的な語彙の定義を示すだけでなく,生物学の専門家と地理学の専門家が加わることにより,例えば昆虫と地理的概念の語彙を解説したり,フォークタクソノミ―による分類と学術分類の違いなどを考察するセクションを設ける。本研究により,『宮古語(〇〇方言)シソーラス(動植物・地理編)』が完成するが,消滅危機方言に関するこのようなシソーラスは極めて珍しく,かつ各分野の学術的知見を取り入れた領域横断型の成果としては,初めての成果となる。

琉球諸語記述研究会

研究コミュニティ

​2006年に立ち上げた琉球諸語の研究者コミュニティです。通称,「ショゴケン」。本土方言の研究者も

​参加しており,事実上,「日琉ショゴケン」になっています。参加自由,リーダー不在,会費なし,の自助組織です。

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